保険の変換、転換

  • 加入中保険の保障額を限度として別の保険種類に変更すること
  • 健康状態に関わらず別の主契約に変換することができる
  • 取扱いができない保険商品、保険会社もあるので事前によく確認する
  • 保険料の貯蓄部分を下取りしてもらい新しい保険契約を結ぶこと
  • 基本転換、定特転換、比例転換の3種類がある
  • メリットとデメリットをよく理解した上で転換を行うことが大切

保険の変換とは

保険の変換(へんかん)とは、現在加入している保険契約の保障額を限度として告知や診査なしに新たに他の種類の保険に加入する制度で、保険を見直しする手段の一つとして利用されています。

保険の見直し手段として「転換」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、「変換」はあまり知られていない見直し手段で「コンバージョン」と呼んでいる保険会社もあります。

転換と変換では見直し方法は全く異なり、変換は健康状態に関わらず利用できる点が最大のメリットとなっています。主に定期保険から終身保険に切り替えるために利用されていますが、保険会社や保険商品・保険期間によっては「変換制度」を利用出来ない場合があるので注意が必要です。

変換の仕組み

主契約の全てを変換した場合
変換前の保険契約は解除となり、変換後の保険契約の保険料が適用される。
全てを変換

主契約の一部を変換した場合
被変換部分は減額されたものとし、変換前の保険契約の保険料から被変換部分の保険料を差し引いた保険料と変換後の保険契約の保険料の払込みが必要となる。
一部を変換

保険の変換のメリット・デメリット

    メリット

  • 告知・診査なしで別の種類の保険に変更することが可能
  • 加入している保険に解約返戻金があれば、変換時に受け取ることが可能
  • 契約者を法人から個人へ変更し、税金対策等で活用することも可能

「変換」を利用する最大のメリットは、健康状態に関わらず加入中の保険の保障額の範囲内で他の保険種類に変更できる点です。例えば60歳で満期を迎える定期保険に加入している人が、病気を患っているため新たに保険に加入出来ない場合、61歳で亡くなっても保険金を受け取ることは出来ません。しかし「変換制度」を利用して終身保険に変更しておくことで、保険料の値上りがあるものの保障は一生涯となり安心することが出来ます。

また変換は加入している保険に解約返戻金があれば、以前の保険は解約時と同様に解約返戻金が支払われます。そのうえ新たな保険で一生涯の死亡保障を付けておくと、変換時には一時金として解約返戻金を受け取れ、亡くなった際には遺族に死亡保険金を残すことが出来ます。

一方、法人で契約している平準定期保険でも「変換権」を利用することが出来ます。例えば法人契約を経営者である個人に変更して解約返戻金を退職金の一部として受け取り、平準定期保険から終身保険に変換することで一生涯の保障を備えることが出来ます。保険期間の途中で経営者が病気を患ってしまった時でも一生涯の保障に変換することで、死亡保険金を納税資金として備えることが出来ます。

    デメリット

  • 変換時の保険年齢で保険料が決まる
  • 変換後の保険種類によっては保険料負担が増加することがある
  • 利用できない保険会社や保険種類がある
  • 保険期間や年齢によっては利用できない場合がある

「変換」は変換時の年齢で保険料が算出されるので、保険料は変換前と比べると高くなります。保険種類も掛け捨て型の定期保険から貯蓄型の終身保険や養老保険に変換すると保険料負担の増加は避けることが出来ません。

また変換を利用できる条件として「新契約の保障額は既契約の保障額の範囲内であること」や「加入中の保険が契約満了まで2年以上の期間が必要」であったり、「年齢制限」等もあり保険会社によって取扱いは異なります。元々利用できない保険種類や保険会社も多いので、事前によく確認しておきましょう。

保険の転換とは

「転換(てんかん)」とは現在加入している保険の貯蓄部分を下取り金額とし、その下取り金額を基に新しい保険を契約することです。この下取り金額は「転換価格」と呼ばれ、貯蓄部分の解約返戻金や積み立てた配当金、長期継続契約した時の配当金等が含まれるため、単に保険を解約して解約返戻金を受け取ってから新たに保険契約するよりは保険料負担が少なくなります。

転換は新たな保険商品が同じ生命保険会社であることや、現在加入している保険が貯蓄型であることなど条件が定められていますが、保険の見直し方法の一つとして多くの生命保険会社で活用されています。

転換方法の種類

保険の転換方法には「基本転換」「定特転換」「比例転換」の3種類があり、転換方法によって新しい保険の払込保険料が変わります。尚、取り扱う転換方法は保険会社によって異なります。

「基本転換」 … 転換価格を主契約にのみ充当する方法  
基本転換
以前に加入していた保険の転換価格を新しい保険の主契約となる部分(終身保険)に充当する方法で、保障額に変化は見られないが主契約の保険料負担の軽減に効果がある。

「定特転換」 … 転換価格を定期保険特約のみに充当する方法
定特転換

以前に加入していた保険の転換価格を新しい保険の特約部分(定期保険特約)に充当する方法で、特約部分の定期保険の保険料を軽減することができます。尚、定期保険特約が更新されると特約部分の保険料の軽減はなくなるうえ、更新後の保険料も年齢に比例して値上がりするので同じ保障額で継続する場合は注意が必要です。

「比例転換」 … 転換価格を主契約と特約の双方に一定の割合で分割して充当する方法
比例転換

以前に加入していた保険の転換価格を新しい保険の主契約(終身保険)と特約部分(定期保険特約)の双方に充当する方法で、保障額をある程度大きくして保険料負担も軽減したい場合に有効です。ただし定期保険特約が更新を迎えると、保険料負担が軽減されるのは主契約のみとなります。

転換の特徴、メリットとデメリット

    ポイント

  • 同じ生命保険会社の保険商品で行う必要がある
  • 既契約の保険が貯蓄型の保険でないと利用できない
  • 保険料負担の軽減が出来る
  • 新たな保障を追加することが出来る
  • 予定利率は転換時の予定利率が適用される
  • 保険料は転換時の年齢で再計算される
  • 転換時に告知または診査が必要
  • 転換時が免責期間の新たな責任開始期となる
  • 転換すると元の保険契約は消滅する

転換はすでに加入している保険の積立金を頭金として新たな保険に乗り換えるので、保険を解約して新たな保険を契約するより有利になっています。また同じ保険会社での保険の見直しとなるので、保険会社によっては以前の契約内容を継承しながら新たに保障を追加することが出来ます。

新たな保障を上乗せすると保険料は高くなりますが、転換価格(下取り部分)が保険料負担を軽減してくれるので新規追加契約よりも保険料を抑えることができるというメリットがあります。

しかし一方で、転換すると保険料は転換時の年齢で再計算されたり予定利率が継承されないなど、以前に加入していた保険の内容によっては損となる場合があります。予定利率は転換時の予定利率が適用されるため、以前に加入していた保険が「お宝保険」と呼ばれる予定利率の高い保険であれば転換はおすすめ出来ません。

また転換する場合は告知や医師による診査が必要となり、転換が成立すると元の保険契約は消滅するうえ免責期間の責任開始日は転換時からとなります。いつでも転換制度を利用することは出来ますが、一度転換すると元の契約に戻すことは出来なくなるので注意しておきましょう。

転換を行う前に確認すること

    チェックが必要な変更点

  • 予定利率
  • 保障内容や保障額
  • 保険料払込期間
  • 1回当たりの支払い保険料

現在の生命保険会社の予定利率は、マイナス金利の影響でほとんど期待できません。予定利率は転換時の利率が適用されるため、現在加入している保険が3%や4%といった予定利率の高い保険であれば転換は損となりおすすめ出来ません。

転換によって大きく変わるのは保障内容や保障額です。同じ保険料で保障額を増やしたり保障内容を手厚くするのは難しいので、転換によって保障内容がどのように変更されるのかを確認する必要があります。

主契約の終身保険を減らし特約定期保険を増やすと保障額は変わらず保険料が減ったように見えますが、貯蓄型の終身保険と掛け捨て型の定期保険では保障内容は全く違います。

同じ保障内容であれば転換する必要はないので、保障内容や保障額に変更点が必ずあるはずです。ライフステージの変化とともに保障の見直しも必要となりますが、それが自分にとって最適な保障内容であり必要保障額となっているのかを転換前と転換後で比べてよく確認することが大切です。

さらに保険料払込期間の変更も転換を行う前のチェックポイントの一つです。一般的に貯蓄性の高い保険から保険料が安い掛け捨ての保険にかえたり、保険料払込期間を長くすることで一回当たりの保険料負担を減らすことができますが、転換時に保険料払込期間を変更して保険料負担の軽減を提案されることも多く見受けられます。

保険料払込期間が短期払いから全期払いになると、1回あたりの保険料は安くなったようにみえますが保険料払込総額は増えることになります。また更新型の定期保険では更新期間を短くすることで一時的に保険料負担を軽減することができますが、更新を迎える度に保険料が上がってしまうという注意点も覚えておくことが大切です。

保険の担当者が転換制度の利用を薦める場合は、転換以外の方法や転換前と転換後の内容比較について書面を用いて説明することが義務付けられています。保険料を安くするためには何らかの変更点が必ずあるので、担当者に薦められるがままに転換制度を利用するのではなく、ご自身で変更内容をよく理解し納得したうえで契約することが大切です。

保険の転換は保険料を負担を軽減し保障を大きくできるのが魅力ですが、加入中の保険を転換するかどうか悩まれている方は無料でアドバイスを受けられる保険相談サービスを一度ご利用されることをおすすめします。

保険の変換と転換の比較

項目 変換 転換
保障額 既契約の範囲内 増額・減額共に可能
保険料負担 増加する場合が多い 削減する事が可能
解約返戻金 受け取る事が可能 受け取り不可
(新たな保険の下取りになる為)
告知・診査 必要なし 必要
保険会社 同じ保険会社 同じ保険会社

「変換」や「転換」は保険の見直しには有効な手段ですが、見直し理由によってどちらを選択するかが変わってきます。

「変換」は解約返戻金を受け取ることができ告知・診査が必要ないため、健康に不安のある方や病気を患って新たな保険に加入が難しい方で、一定期間保障の定期保険から一生涯保障の終身保険に見直したい方等に有効です。
保険料は高くなるケースが多いですが、既契約の解約返戻金を受け取れるので治療費にあてることが出来るうえ、亡くなった場合は遺族に保険金を残すことが出来ます。

一方で「転換」は、既契約の保険を下取りとして新たな保険を契約するので解約返戻金を受け取ることは出来ませんが、保障額を増額したり保険料負担を減らすことが可能です。ただし新しい保障内容をよく理解していないと一時的に保険料を減らせても、更新時に保険料が値上がりしたり保障期間が短くなっていたりトラブルになりかねません。

保険を有効に活用するための見直し方法として「変換」や「転換」があることを知っていると便利ですが、保険会社によって利用できる条件が異なり保険種類によっては取扱われていないケースもあります。変換や転換はむやみに行ってしまうとデメリットが大きくなってしまうので、不明な点がある場合は無料の保険相談サービスを一度利用されるのがおすすめです。

参考URL:ソニー生命『変換制度について(PDF)』
参考URL:日本経済新聞『保険の転換、きをつけて

コメント